2025年のVTuber市場では、視聴時間の主導権はなおYouTubeが握る一方、活動チャンネル数ではTwitchの存在感が一段と大きくなりました。Twitchで目立ったのは、コミュニティ運営が強い人、長時間配信と相性が良い人、マルチプラットフォームで視聴者を広げられる人です。
Twitchの存在感が増した2025年
2025年のVTuber市場でまず押さえておきたいのは、Twitchの“視聴時間”ではなく“存在感”がはっきり増したことです。Streams ChartsとVSTATSのQ2レポートでは、YouTubeが依然としてVTuber視聴時間の64%超を担っている一方、TwitchはアクティブなVTuberチャンネルの6割超を抱えるまでに広がったと整理されています。つまり、最も長く見られている土台はYouTubeにあるものの、新しく活動を始めたり、長時間コミュニティ配信を行ったりする場としてはTwitchの比重がかなり高まっているわけです。
Q3に入ってもこの傾向は続きました。市場全体では上半期ほどの熱量は落ち着いたものの、Twitchは新しい顔が増えやすい場として機能し続けています。英語圏の独立系VTuberや、ゲーム・雑談・マラソン企画を中心とする配信者にとっては、Twitchの方が自分のスタイルを成立させやすいという見方がかなり定着しました。
この変化は、単に配信サイトが増えたという話ではありません。VTuber文化そのものが、YouTube中心のモデルから、配信内容ごとにプラットフォームを使い分けるモデルへ移行しつつあることを意味しています。
なぜVTuberがTwitchを選ぶのか
Twitchが選ばれた理由は、配信者にとっての“居心地の良さ”にあります。ライブ配信を軸に設計されたサービスなので、長時間配信、視聴者との会話、コミュニティイベント、レイドや共同視聴のような横のつながりが作りやすい。短い導線で新規を集めるというより、一定時間一緒に過ごしてもらうことに向いています。
VTuberとの相性が良いのはここです。キャラクター性や世界観を持つ配信者ほど、単発視聴より“通う楽しさ”が強くなります。Twitchではその空気が育ちやすく、雑談とゲームを自然に往復しながら視聴者との関係を深めやすい。2025年にTwitchで存在感を高めたVTuberは、派手な数字だけでなく、この継続視聴の感覚を作るのが上手い人が多かった印象です。
加えて、Twitch公式もVTuberコミュニティを明確に重視しています。2025年のVTuber Week告知では、VTuberコミュニティがTwitch上で最も活発なコミュニティの一つであることが強調され、Creator ClubsでもVTuberクラブの成長が触れられました。プラットフォーム側が文化として歓迎していることも、定着を後押ししています。
Twitchで強かったVTuberの共通点
2025年にTwitchで強さを見せたVTuberの共通点は、まずリアルタイムの会話密度が高いことです。チャットの流れを読むのが速く、雑談からゲームプレイへの切り替えが自然で、視聴者の反応がそのまま配信の面白さに返ってくる。Twitchではこの強みがそのまま滞在時間につながります。
次に、長時間配信の設計がうまいことです。単に長くやるのではなく、配信の中で小さな山場を何度も作れる人は強いです。新しいゲームを始める、参加型を入れる、雑談のテーマを切り替える、サブ企画を挟む。こうした運びがあると、数時間単位で見ても飽きにくくなります。Twitchで目立つVTuberは、日課のように見に行ける空気を作るのが上手い人が多いです。
さらに、マルチ配信や外部導線との相性も見逃せません。Streams Chartsの年間記事では、TheBurntPeanutがTwitch・Kick・YouTubeをまたぐ形で急成長したことが紹介されています。VTuberの認知が広がった今、Twitchだけで閉じるのではなく、他媒体やSNSも使って大きくする動きが2025年らしい特徴でした。
英語圏と独立系の伸びが大きい
Twitchで存在感を高めたVTuberを考えるとき、英語圏と独立系の存在はかなり大きいです。Q3レポートでは、英語圏では Ironmouse や MichiMochievee が目立ち、さらに Deme や Neuro-sama のような独自色の強い配信者も存在感を高めていました。ここで共通しているのは、コミュニティ色が強く、Twitch文化と噛み合う配信をしていることです。
独立系が伸びやすい背景もはっきりしています。Twitchは、箱の大規模導線よりも配信者個人の空気感やコミュニティ設計がそのまま武器になりやすいからです。もちろん大手所属の配信者も強いのですが、Twitchは“知名度より滞在価値”で勝負しやすい場なので、個人でも戦い方を作りやすい。2025年はこの差がより見えやすくなりました。
日本のVTuber市場は依然としてYouTube優位ですが、Twitchで存在感を高める配信者が増えることで、ゲーム配信や英語圏交流を含めた新しい成長ルートが定着しつつあります。
YouTubeとTwitchの役割分担
2025年の傾向を整理すると、YouTubeは依然として大型視聴とアーカイブ消費に強く、Twitchは長時間のコミュニティ形成とゲーム・雑談系の滞在に強い、という役割分担がかなり明確です。YouTubeが広く見つかる場だとすれば、Twitchは深く通ってもらう場という見方がしっくりきます。
だからこそ、Twitchで存在感を高めたVTuberは、YouTubeとの二択で勝ったわけではありません。活動全体の中で、どのコンテンツをどこに置くかが上手かったのです。大型ライブやショート動画はYouTube、長時間雑談やゲーム企画はTwitch、というように役割を分けると、それぞれの強みが生きやすくなります。
2025年にTwitchで存在感を高めた人たちは、単なる移住組ではなく、自分の配信スタイルに合う土台としてTwitchを選べていた人たちだったと言えます。
Twitchで存在感を高めた具体例
2025年の具体例としてまず挙げやすいのは、ironmouseです。Streams Chartsの年間ランキングでも上位に入り、元VShojoの看板格としてTwitch発のVTuberが世界規模で成立することを改めて示しました。Twitchの強みである雑談、イベント参加、コミュニティ密着型の盛り上がりと相性が良く、YouTube中心の日本勢とは違う勝ち筋を見せた存在です。
日本語圏で見ると、叶はYouTubeとTwitchをまたぎながら存在感を維持した代表例です。年間の視聴時間ランキングでも上位に顔を出しており、FPSや大型企画との接続力、配信の回し方、雑談の見やすさがTwitch的な視聴文化とも噛み合っていました。Twitch単独専業というより、複数プラットフォームを横断しながらTwitch的な強さを取り込んだケースとして見やすいです。
グローバルでは、TheBurntPeanutも見逃せません。Streams Chartsの2025年年間記事では、Twitch・Kick・YouTubeのマルチ配信を続けながら急浮上した存在として紹介されています。2025年のTwitchは“移る”というより“混ぜる”発想が強く、TheBurntPeanutの伸びはその象徴でした。Twitchで強い人は、必ずしもTwitchだけに閉じているわけではない。そのことがよくわかる例です。
まとめ
2025年のVTuber市場でTwitchの存在感が高まったのは、YouTubeが弱くなったからではなく、配信者の戦い方が増えたからです。Twitchは長時間のライブ体験とコミュニティ形成に強く、その特性に合ったVTuberが確かな存在感を築きました。今後も、YouTubeが大きな視聴の中心であり続ける一方で、Twitchは“通い続ける面白さ”を支える場として、さらに重要になっていきそうです。
Twitchの存在感も複数の顔ぶれで見る
Twitchで存在感を高めたVTuberを見ると、一ノ瀬うるは、橘ひなの、花芽すみれのようなFPS・ゲーム日常視聴の強い人がまず目立ちます。一方で、渋谷ハル周辺の大会・イベント導線、葛葉のような大型企画との接続、猫汰つなのような若い視聴層との相性など、存在感の出方は複数あります。
同じTwitchでも、長時間視聴で強いのか、クリップで広がるのか、競技シーンとの接続で広がるのかで価値が変わります。特定の数名だけで語るより、ゲームジャンルやコミュニティの違いまで含めた方が、TwitchにおけるVTuberの立ち位置を読みやすくなります。